TC Electronicの変化球ディレイです。
TCの定番ディレイ「Flashback」を元に、この機種オリジナルの音色を詰め込んだスペシャル版的な製品です。
基本的にはヴィンテージ再現型のエフェクターですが、それにとどまらない魅力がありました。
機種としての立ち位置
最初に注意点として、Alter Ego V2は「旧型Flashbackの派生製品」であり、「現行のFlashback 2の派生製品ではない」という点に触れておきます。
これは2013年に発売された黄色い筐体の「旧型Alter Ego」の進化版として発売されたために「2」という名前がついているだけなので、2017年発売のFlashback2に搭載されている感圧式のMASHフットスイッチではありません。
これは同時発売されたリバーブの「T2」も同様です。
ギターでの演奏ですが、音の特徴はこちらの動画が分かりやすいです。
コントロールの特徴
基本的なコントロールはFlashbackと同じくシンプルで、TIMEでディレイタイム（20ms～7000ms）を、FEEDBACKでディレイ音のリピート回数を、LEVELでディレイ音の音量を調整します。
真ん中の小さなスイッチには何も書いていませんが、ディレイ音の符割りを3ポジションで切り替えます。
上が四分音符、真ん中が付点八分音符、下が四分音符＋付点八分音符です。
そしてセレクターで11種類のディレイを切り替えます。
各ディレイの元ネタは以下の通り。
・EREC 2 … Binson Echorec 2
・DMM C … Electro-Harmonix Deluxe MemoryMan Chorus
・T ORG … Tel Ray Organ Tone
・2290 M … TC Electronic 2290 ＋ モジュレーション
・REV M … リバースディレイ ＋ モジュレーション
・BDM2 … Boss DM-2
・CKAT … Watkins Copykat
・EP1 … Maestro Echoplex 1
・SP … Roland Space Echo
・LP … ルーパー（モノラル40秒、ステレオ20秒）
・TP … TonePrint
Alter Ego2にはこの機種でしか使えない専用の音色が多く備わっており、ヴィンテージのテープエコーやアナログディレイを元にした音が搭載されています。
全体的にやや綺麗めというか、若干ハイファイな音質に落とし込まれているようでしたが、実際アンサンブルの中で使うにはこれぐらいが分かりやすくて良いとも感じました。
なお残念ながら発振はしません。
TonePrintのメリット
で、個人的にこの機種で一番のポイントだと感じたのがTonePrintです。
というのも、普通TonePrint機能は、こだわりのオリジナル音色や飛び道具的な音を入れるのに使うことが多いと思うのですが、この機種の場合はTonePrintにごく普通のデジタルディレイの音を入れておくことによって、非常に使い勝手が良くなると感じました。
コンパクトサイズのデジタルディレイだと、「通常のディレイ音はいいけどヴィンテージ系の音色の選択肢が少ない」とか、逆に「独特の音しか入ってなくて普通のディレイの音が出せない」ということがあったりしますが、このTonePrintの使い方なら、一台でどちらのディレイ音も準備することができます。
自分以外でこの使い方をしている人をあまり見たことがないのですが、これは便利なのでおすすめです。
裏蓋を開けると小さいスイッチがあり、トゥルーバイパスとバッファードバイパス（エフェクトOFFしても残響が残る）、及び原音を消すキルドライの切り替えが可能なのもポイント高いです。
原音がAD/DA変換されないアナログドライスルーのためか、ONにしても音が引っ込むことがなく、ごく普通のデジタルディレイとして使うぶんにも完成度が高いというのが気に入っていました。
調べてみて知ったのですが、既に生産完了のようで、この記事を書いている時点ではまだ新品も出回っているものの、今後は中古品を探すか、大型のAlter Ego X4を選ぶかになってしまいます。
兄弟機種であるリバーブのT2ともども、気になる方は早めに入手しておくことをおすすめします。
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