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【考察】アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違いとは

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初心者時代から結構長い間、私は「エフェクターのアナログ・デジタルとは一体何なのか」がよく分かっていませんでした。
そこには、「アナログ」「デジタル」の定義が十分に整理されていないという問題が前提にあると思われるため、今回はそのへんについてちょっとまとめてみようと思います。
※分かりやすさを重視するため、一部簡略化した表現があることをご了承ください。

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MIDI対応のエフェクターだから「デジタル」?

この記事を書くきっかけになったのは、少し前に発売されたFREE THE TONEのPA-1Qシリーズです。
これは「音色をプリセットして保存できる機能を備えた、MIDI対応のアナログ10バンドイコライザー」なのですが、それについて「これアナログじゃなくてデジタルじゃん」という意見を目にしました。
ここには大きな誤解というか、認識の食い違いがあると感じました。

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AD/DA変換について

まず、世間的に「アナログ」「デジタル」がどう理解されているかというと、ディレイが一番分かりやすいでしょう。
「弾いた音から劣化してにじんだようなディレイ音が返ってくる、味がある音なのがアナログディレイ」で、「デジタル処理によって弾いた音がそのままクリアに返ってくる、原音に忠実なのがデジタルディレイ」。
これはこれで間違いありません。

では、音色の問題ではなく、実際の仕組みとしてこの「アナログディレイ」と「デジタルディレイ」は何が違うのか。
それは、エフェクターに入力されたギターやベースからの信号がずっとアナログのまま出力されるか、AD/DA変換を経て出力されるかです。

ギターやベースから出力され、シールドケーブルを通ってエフェクターに入っていく音声信号はアナログ信号です。
アナログディレイの場合、BBDという素子を用いて、アナログ信号のままで音の遅延を生み出しています。
音声信号は、アナログディレイの内部に入る前から、回路を通過して出力されるまで、ずっとアナログ信号のままということになります。

しかし、デジタルディレイの場合は、内部での信号処理をデジタルで行うため、アナログ信号をいったんデジタル信号に変換する必要があります(AD変換)
そして、エフェクター内部で処理された信号をシールドに乗せてアンプ側に送り出すには、デジタルになった信号を改めてアナログ信号に変換しなおす必要があります(DA変換)
これらをまとめて「AD/DA変換」といい、一般的には、このAD/DA変換を経由した音を出すものを「デジタルエフェクター」と呼ぶことが多いです。

デジタルディレイをONにして楽器を弾くと、「原音」に続いて「ディレイ音」が出てきますよね。
意外と正確に理解していない人が多いのですが、ここで「原音」と呼ばれている音も、基本的にはAD/DA変換された音です。
もちろん音質的な特徴もありますが、その良し悪しではなく、「音の信号をAD/DA変換するかどうか」がアナログとデジタルの最大の違いなのです。

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「デジタル技術を用いつつも信号自体はアナログ」というエフェクター

という点を踏まえて、冒頭のFREE THE TONEのイコライザーに話を戻します。
アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違いを「デジタル技術を使っているかどうか」だとすれば、デジタル制御で音色を切り替えられるこのイコライザーはデジタルエフェクターのようにも思えます。
しかし、内部で音をAD/DA変換しておらず、デジタル技術によって生み出された音を出力しているわけではないという点を基準に考えると、これはデジタルエフェクターではなくアナログエフェクターということになり、ここに認識の食い違いがあったわけです。

「信号はアナログだけどデジタルでエフェクトを作る」というエフェクター

…というところで結論に持っていきたかったのですが、ここでひとつ問題が出てきます。
デジタルディレイでも、「アナログミキシング回路」や「アナログドライスルー」といって、エフェクトON時の音質変化を抑えるために先ほどのディレイの例え話で言うところの「エフェクトON時の原音」はAD/DA変換されていないというものが増えているのです。
TC ElectronicのTonePrintシリーズの製品の多くがそうですし、実はBOSSの現行デジタルディレイやリバーブも原音はAD/DA変換されていません

しかし、これらを「アナログディレイ」と呼ぶ人はいません。
まあ、実際にディレイ音として出てくる音は紛うことなくデジタル処理によって生成された音なので当然なのですが、このあたりの事情も話をややこしくしているな、と感じています。

デジタル技術を用いると電源の視点ではデジタルエフェクターという分類になる

また、よくある「デジタルは消費電流が多いから電池駆動はせず、パワーサプライを使った方がいい」という話になると、最初に例に挙げたFREE THE TONEのイコライザーはデジタルエフェクターの特徴を持つことになります。
音自体がアナログ信号のままでも、内部にデジタル技術を採用することで、消費電流の値は当然大きくなるのです。
ディレイの例えでいうと、「デジタル制御によるタップテンポ機能を搭載したアナログディレイ」もこれに該当します。

以上より、アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違いとは、「エフェクターを経由して出てきた音にデジタル処理された音が含まれているかどうか」である、というのが一応の原則的な定義になるもの、場合によって適宜定義づけをする必要が生じる場合もある、ということになります。
「アナログ」「デジタル」という表現にはそれだけ注意が必要といえるでしょう。
アナログ・デジタルそれぞれのメリットとデメリットみたいな話もしようと思ったのですが、ちょっと長くなったので次の機会に回します。

【追記】続きを書きました。↓

【考察】エフェクターのアナログとデジタル、それぞれのメリットとデメリット
以前、「アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違い」について書きました。 しかし、思ったより長くなってしまい、書ききれなかった部分もあります。 そこで今回は続編ということで、デジタルエフェクターとアナログエフェクターそれぞれが持つメリ...

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