【エフェクターベーシスト列伝⑥】Anthony Jackson

ジャズの分野におけるエレキベースの表現の幅を押し広げ、後進の多くのベーシストに影響を与えたAnthony Jackson(アンソニー・ジャクソン)
最近では5弦ベースが当たり前のように一般化し、6弦ベースもさほど珍しいものではなくなりましたが、「ベースの弦は4本」が完全に常識だった1980年代から6弦ベースを使用していた彼の存在なくして、今のこの状況はありえなかったでしょう。
そして、彼は多弦ベースの使用だけでなく、「ベースにエフェクターをかける」という点においても開拓者の一人でした。

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モジュレーションエフェクターの活用

Anthony Jacksonというと、楽器に一切のコントロールがない(ボリュームノブさえ付けていない)ことや、自身の6弦ベースを「コントラバス・ギター」と称することなどから、無駄を排した独自の哲学を持つ職人気質なベーシスト、というイメージの方も多いかもしれません。
しかし、そんな彼のかつてのトレードマークのひとつがモジュレーション系エフェクターでした。
例えば、ジャズギタリストAl Di Meolaの名盤「Elegant Gypsy」(1977)収録の「Elegant Gypsy Suite」では、ほぼ全編にわたってベースにコーラスらしきエフェクトがかかっています。


また、女性R&BシンガーのChaka Khanが1980年にリリースしたアルバム「Naughty」の一曲目「Clouds」では、ごく短いブレイク部分(0:23等)でフランジャーによってうねるベースの音が効果的に使われています。
このアルバムは「じゃじゃ馬馴らし」という邦題で知っている人もいるかもしれませんね。


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個人的に最も印象的だったのが、3人組の男性R&BグループThe O'Jaysの1973年の楽曲「For the Love of Money」です。
イントロのベース、一瞬シンセかと思ってしまうのですが、Anthonyの演奏によるものです。こちらはフェイザーですかね。
リバーブはエンジニアによる後掛けエフェクトらしいですが、その効果もあってかなり独特の雰囲気に仕上がっています。


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ベースの常識を超えた音量表現

近年はエフェクターらしいエフェクターは使っていませんが、ボリュームペダルを巧みに操る演奏を披露しています。
こちらは私が大好きなMichel Petruccianiの、1997年の東京でのライブを収めた「TRIO IN TOKYO」から「Love Letter」。ドラムはSteve Gaddです。

言ってしまえばボリューム奏法ですが、冒頭から、アタックを消すことでまるでチェロかバイオリンのような質感の音を奏で、メロディに寄り添っています。
アウトロの8:47あたりからのフレーズは圧巻。
6弦ベースの高音域とあいまって、息をのむ美しさです。
このアルバムではこのボリュームペダルを使った演奏が随所に出てきますが、それ抜きに超名盤なのでぜひ聴いていただきたいです。


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このトリオの映像作品として、1998年のドイツでのライブを収めた「LIVE IN CONCERT」もおすすめです。

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6弦ベースだけではない開拓精神

うろ覚えなので若干間違いがあるかもしれませんが、昔読んだインタビュー記事で彼はこのように語っていました。
「私がフランジャーに興味を示すと、『それはギター用のエフェクトだよ』と言われたが、私は試しにベースにフランジャーを繋いでみた。音を出してみるとまるで新しい世界が広がったようだった」と。
この探究心はベーシストとして見習いたいと常々思っています。

大病を患っていた時期もあり、また2016年の上原ひろみThe Trio Projectのメンバーとしての来日が取り止めになって以降も表舞台に出てきていないので心配ですが、またステージで貫禄のある姿を見せてくれればと願っています。

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