6弦ベースよりさらに弦が多い、いわゆる超多弦ベース。
ローF#やハイF、それをさらに超える広い音域にチューニングするには特殊なゲージの弦が必要不可欠ですが、意外と情報が少ないので、このブログでまとめておこうと思います。
なお、「1弦」や「4弦」という呼称、「ローB」や「ハイC」という表現は混乱を招くので極力避け、440Hz=A4とする表記により、レギュラーチューニングの4弦ベースの開放弦を低いほうからE1、A1、D2、G2として話を進めます。
超多弦ベースのチューニング
私がこれまで所有した中で一番弦が多かったのが10弦ベースです。
レギュラーチューニング4弦ベースの低音側・高音側にそれぞれ3本ずつ弦を足したC#0、F#0、B0、E1、A1、D2、G2、C3、F3、A#3というチューニングにしていました。
これはギターとは異なり、高音弦側も全て完全4度のチューニングですが、超多弦楽器ユーザーの中にはギターのようなチューニングにしている人もいます。
「高音弦の高い張力を緩和するためにギター風のチューニングを選ぶ」という選択肢もあるでしょう。
※余談ですが、一般的な88鍵ピアノの最低音がA0(いわゆるLow Bの全音下)、低音域を拡張したベーゼンドルファー製の97鍵ピアノの最低音がC0になります。
低音楽器名乗ってるくせに5弦ベース一音下げにしてやっとピアノと対等、低音弦3本増やしてもベーゼンドルファーに半音届かない。悔しい。
弦の選択肢
当時所有していた10弦ベースの弦のゲージは、低いほうから順に195(C#0)、150(F#0)、125(B0)、100(E1)、080(A1)、065(D2)、045(G2)、025(C3)、018(F3)、011(A#3)でした。
この時に使用していたのが、SITのステンレス弦「Power Steel」のセットと、超多弦ベースメーカーとしては古参といえるConklinの弦「Snake Skin」のバラ弦の組み合わせです(Conklin弦の中身はSIT製のステンレス弦)。
Conklinブランドの弦は本国サイト、で販売されており、国内では唯一イシバシ楽器が取り扱っていました。
最近はあまり在庫していることがないものの、欲しいゲージの弦がもしあればイシバシでの購入が確実でしょう。
また、海外通販になりますが、Kalium Stringsも選択肢の一つです。
ニッケル製のHybridとステンレス製のSteelがあるのですが、豊富なラインナップが特徴で、Dingwall等のファンドフレットに対応した37インチスケール、さらには40インチスケールまで対応した弦も販売しています。
最も太い弦は.266という異次元の太さです。
(国内だと島村楽器の梅田ロフト店が仕入れていましたが、残念ながら特殊なゲージの弦は置いてありませんでした。)
他にはNewtone Stringsにも.200という極太弦があります。
もっと手軽に購入できるものとして、そこまで極端な太さでなければ、D'Addarioのバラ弦がサウンドハウスで買えます。
まず低音弦としては、F#0に使える.145や、さらに太い.160
、.165
、.170(日本国内で入手しやすい中ではこれが一番太い)
という太さの弦があります。
C#0に使うとなると.170でもややテンション不足感がありますが、スケールの長いベースならいけるかもしれません。
※なお、極太ゲージになるとテーパード仕様のものを選ばないとブリッジに弦がはまらないことがあるので注意が必要です。
そして、F3に使える高音弦は.018や.020
があります。
型番の末尾がPになっているものは、ギターの高音弦と同じくプレーン弦です。
B0~F3チューニングであれば、7弦ベース用のセット弦も売っています。
手に入りやすいのがKen Smithぐらいしかありませんでしたが、2020年からはMJC Ironworksが国内に入ってきました。
ギター弦という選択肢
高音弦については、ギター用のバラ弦を買って流用するという方法もあります。
ギター弦のボールエンドは小さいのでベースのブリッジには引っ掛からないのですが、使用済みベース弦のボールエンドを外し、その穴にギターの弦を通せばベースでも一応使用可能です。
ただ、長さが微妙に足りない場合が多いですし、「このギター弦、前に買った時は大丈夫だったのに今回買ったやつは短くてベースのペグに届かない!」なんてことも過去にあったので、どのメーカーならベースに使える、ということは一概には言えません。
とはいえ、ギター弦ならバラ売りで安く買えるので、ダメ元で試してみる価値はあるでしょう。
あとこれはTwitterで教えていただいたのですが、弦を挟む「シーゲル巻き」と呼ばれる巻き方をすることで、ペグポスト一周程度巻ければしっかり弦を固定できるそうです。
あるいは、高音弦のペグをギター用のペグにするという改造も解決策のひとつかもしれません。
(ギター用のロックペグを採用すればより確実性が上がるでしょう。)
私が現在所有している7弦ベースのチューニングについても書こうと思ったのですが、思いのほか長くなってしまったので別記事で書きます。書きました。↓

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