「エフェクターの筐体(ケース)の素材で音が変わる」は本当か?

「エフェクターの筐体が違うだけで音に影響があるか?」という話が定期的にSNS等で話題になります。
それについて、過去に実際にやった実験の話等も含めて書いておこうと思います。
先に結論を言うと、「確実に変わるが音作りにおける支配的な要素とまでは考えない方がいい」ぐらいの感じが個人的な着地点です。

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体感として変わることは事実

とりあえず、「エフェクターは回路が全て!ガワを変えただけで音が変わるなんてことは100%絶対にありえない!」という人がいたら「いや変わるみたいなんですよ」とはお伝えしたい。
その点に関してはこんな弱小ブログで書くまでもなく、このデジマート地下実験室の記事を見れば一発でしょう。

デジマート地下実験室 「エフェクターの音はケースによって変わるのか?」(2014/8/18)


↑の最後の「きのこの山の箱」はアースが通電していなかったことによる失敗だったため、それを受けて第二弾である「エフェクター筐体実験リターンズ〜最強のお菓子箱はどれだ?〜」(2016/6/1)も後に公開されています。

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過去に行ったビッグマフ実験の話

で、私自身は電気関係がからっきしなのですが、だいぶ前にギタリストの友人が似たような実験をするのに付き合ったことがあります。
そして、そのときも確かに「ケースの違いが音に与える影響はどうやら無視できない」と感じました。

当時の実験のきっかけは「なぜリトルビッグマフはボロクソに叩かれているのか」というものでした。
Electro Harmonixが鉄板折り曲げ筐体による従来のラインナップを刷新し、ダイキャスト筐体のエフェクターを一挙に発売したのが2006年のことです。
ただ、(近年のエレハモ製品はNanoシリーズの復刻ビッグマフをはじめ評価の高い物が多いですが、)当時発売されたエフェクターの多くはまあえらく評判が悪かったのです。
Little Big Muffもその一つで、その不評の主な要因は「デカい方のビッグマフと音が違いすぎる、こんなもんビッグマフとは認めない」というものだったと記憶しています。

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ちょっと比較動画を探してみたのですが、これが分かりやすいでしょうか。
こうして聴いてみるとLittleも結構いい線行ってるんですが、実際に比較するとLittleの方はビッグマフと呼ぶにはボフボフ感が足りないと感じたことを覚えています。
中身の回路がそもそも全く同じわけではなかったと思うのですが、実際の音色の違いとして特にローゲイン時の雰囲気の違いはかなり顕著で、でかい方に比べてLittleの方は線が細く感じられました。

で、「このリトルビッグマフの中身を普通のビッグマフぐらいデカいケースに収めたらどうなるか」という実験を行ったところ、普通にビッグマフらしい音になったんですよね。
まあ全く同じ力で弾けるわけでもなければ、揃えきれない微妙な音量の違いも影響するでしょうし、既に録音も残っていないので証明のしようはありません。
ただ、静電容量なのか振動が何かしら影響するのか、理屈は結局不明ですが、「エフェクターの筐体の素材や形状、大きさ等によって音が変わることはありえる」ということ自体は間違いないと思います。

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現在流通している製品の事例

最近出た中で特徴的なものだと、南部鉄器を筐体に採用したkgr harmonyのエフェクターがあります。
同じ回路を一般的なアルミケースと南部鉄器ケースに収めたものを比較した動画がアップされていました。
これまた確かに違いがあって、南部鉄器の方が何と言うか、変な硬さがないのに粒立ちというか音の分離が良い感じがしますね。

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さらに、ヴィンテージファズのTone Benderの完全再現に並々ならぬ執念を燃やすOrganic Soundsのインタビューでは、基板裏面の銅箔の厚さやアウトプットジャックによっても音が変わると語られています。
ただ、ここまでくると「変わるんだろうけど、その差異は果たして自分レベルの人間に判別できるのだろうか?」という気もしますし、特段ヴィンテージマニアでも何でもない私としてはちょっと遠い世界に感じてしまいます。

最初に書いたとおり、私は「エフェクターの筐体の素材が音作りにおける中心的な要素となりえるか?」といわれたらそれはちょっと違うと感じています。
何かで読んだインタビューで、海外のとある有名エフェクタービルダー(※記事の現物が見つからないので間違いのないよう誰かは伏せます)も「ハンドメイドモデルと量産モデルはケースの素材が違うが、それが音に影響するとは考えていない」と明言していたと記憶しています。
このあたりはビルダーの設計思想も人それぞれ異なるということでしょう。

音の違いを構成する要素が山ほどあることは間違いないですが、(こんなブログやっときながらアレですが)結局最終的な出音はほとんど楽器本体とアンプによって決まってしまうわけです。
気に入ったエフェクターを使えばいいのは当然のこととはいえ、なんかこう機材のチョイスで「音に対する支配的な要素"以外"の部分」にお金をかけすぎるのはちょっと違うと感じています。

とはいえ実際に音は変わったわけでうーん、というところで特に明確なオチはないんですが、エフェクター1台の音に徹底的にこだわるのはもちろん一つの正解である一方、その対極として「音より可搬性を重視して小さいものを選ぶ」というのもまた一つの正解と言えるわけです。
一介のアマチュアプレイヤーとしては、「〇〇で音は変わる」「いや、変わらない」という話に流されすぎないように情報源を取捨選択しつつ、「どこにどの程度までお金をかけるか」というポイントをしっかり考えるようにしておきたいところです。

コメント

  1. ソウ より:

    BOSSやMXRは筐体のサイズはスイッチ類などの操作系によって大きさが変わる場合はあれど、音色のために変えるということはしていないように思いますね。
    その中であれだけ音にバリエーションを出しているというのも逆に凄いというのか…
    とても面白いです。

    音作りは本当に難しいですね。記事の主旨から少し外れるので恐縮ですが、個人的には(特にベースの音作りは)ハコのサイズ、音響さんの機材というか介入度によってもバイアスをかけるべきところが大分変ってくると考えています。
    ライン音とアンプ音の比重に関して、
    カフェ、バークラスではアンプの比重が最大になり、100~500人クラスのハコではアンプはほぼ自分用のモニターと化し、1000人以上クラスになり音響さんとガッチリ組む場合はアンプの音(状況と相談次第でナシにすることももちろんありえますが)の比重が戻ってきます。
    結局最終的には全て揃えなければならないわけですが、現場の状況によって手をかける順番で、音作りの上手い下手の印象が変わってしまう気がしていて、(それは楽器の上手い下手とは全然別問題で混同しちゃってない…?)というダメ出しを受けることもあって、
    本当に難しいと思います。

    半分くらい個人的なグチになってしまいすみません。

    • bassfx より:

      いえいえとんでもないです、参考になります。ありがとうございます。
      実際問題、「客席に届く音」と「自分がモニターしている音」がどれぐらいイコールかは会場規模によって全然違いますし、足元だけで解決できる範囲もだいぶ変わってきますね。
      あと、演奏技術じゃない音作り技術の知見が意外とプレイヤーの間で共有されないというか、「えらくテクニカルな人が多い対バンの中で、技術的には特に目立ってなかった人がびっくりするぐらい音抜けが良くて、でも他の巧い出演者はそういう部分には何故か興味を示さない」ということがあったのをふと思い出しました。
      その場その場で最適解を導き出すのは本当に難しいと思いますし、偶然うまくハマったのが次回再現できなかったりするとまたもどかしいですね。

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