少し古い機種で既に新品流通はしていないものの、人気が高かったデジタルディレイです。
中古を見かけたら試してみてほしい製品のひとつです。
電源はDC9V-12Vアダプター、電池駆動不可。
NOVA DELAYとNOVA REPEATER
2007年から現在に至るまで製造されているTCの製品で、NOVA DELAYというデジタルディレイがあります。
「ラックタイプの名機であるTC2290の小型版」という触れ込みだったこのNOVA DELAYは、発売当時としてはかなりの高音質・機能性・コンパクトさを兼ね備えており、多くのギタリストが足元に置いていました。
そのNOVA DELAYから、メモリー機能やステレオ入力、ディレイタイムのディスプレイ表示といった機能を削り、価格を下げて発売されたのがNOVA REPEATERでした。
購入当時、私はこの二機種を比較試奏しましたが、音質の面ではほとんど違いが感じられなかったことを覚えています。
こちらのオフィシャル動画でベースに繋いで弾いています。
(歪みペダルのNOVA DRIVEも登場します。演奏は0:25~)
音色の特徴
このディレイの比較対象としてよく挙げられていたのが、同時期に人気があったProvidenceのCHRONO DELAY DLY-4です。

Providenceのディレイは本当に「ひたすら忠実に、入力されてきた音をそのままリピート再生する」という雰囲気で、とにかく味付けの無い、素直なディレイでした。
対するこちらのNOVA REPEATERですが、CHRONO DELAYと比較すると「ギターを気持ちよく弾くための残響」という具合で、ハイファイ系のディレイ音でありながら若干の加工感があるのが特徴でした。
いかにもデジタルディレイなくっきりした質感でありつつも、絶妙にアンサンブルに馴染みやすい音です。
コントロールの特徴
コントロールは、DELAY、FEEDBACK、TONE、MOD、FX.LEVELの5つのノブ。
それに加えて、SPILLOVER、KILL DRY、RANGE、TYPE、DIVISIONという5つのボタンがあります。
フットスイッチはON/OFFに加え、タップテンポ用のスイッチも備えています。
DELAYはディレイタイムの調整で、20ms~1200msという幅広い範囲で調整可能ですが、RANGEボタンにより「20~500ms」「200~800ms」「400~1200ms」という3段階に切替えることができるので、微調整も難しくありません。
BOSSのデジタルディレイにも同様の機能がありますね。
FEEDBACKがディレイ音の返ってくる回数です。
上げても発振はしません。
TONEはディレイ音の高域調整ですが、12時の位置がセンターです。
高音域を削ってアナログディレイ風の丸い残響音を得るだけでなく、残響のトレブルをブーストして存在感を強調することもできます。
MODはディレイ音のみにかかるモジュレーションで、12時の位置ではOFFとなります。
反時計回りでヴィブラート、時計回りでコーラスになるのですが、いずれもベースだと効きが弱く、あまり効果を体感できませんでした。
FX.LEVELはディレイ音の音量調節です。原音には影響しません。
SPILLOVERボタンは、よく「TRAIL」とも呼ばれる機能のON/OFFです。
エフェクトをOFFしたときに、ディレイの残響が残るかスパッと切れるかを選択できます。
KILL DRYボタンはキルドライ、原音を鳴らさない設定のON/OFFです。
TYPEボタンはディレイのモード切替です。
高品質デジタルディレイのSTUDIO、アナログディレイ風のANALOG、テープエコー風のTAPE、入力レベルによってディレイ音の音量が変化するDYNAMIC、逆再生ディレイのREVERSE、ステレオ出力時にディレイ音が左右にパンニングされるPING PONGの6種類。
DIVISIONボタンはいわゆるサブディヴィジョンで、4分、付点8分、3連8分、4分+付点8分、4分+3連8分、4分+8分の6種類です。
これだけいろいろ機能を詰め込んでおきながら、迷わず操作できる分かりやすさが人気の理由だったのではないかと思います。
私はしばらくこのNOVA REPEATERを使った後、音質的な好みで前述のCHRONO DELAYに乗り換えましたが、機能面ではNOVA REPEATERのほうが勝っていました。
流通量が多かったので、中古品が比較的安く手に入りやすいです。
最近の高価格ディレイと比べればさすがに音の立体感では劣るでしょうが、それでもまだまだ十分に勝負できる、お買い得なディレイだと思います。
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