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【考察】VICTORIUS「Space Ninjas From Hell」の世界観

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ド脱線記事です。
いわゆるコンセプトアルバム的な音楽作品が出ると、昔はテキストサイトなんかで解説や考察を書く人が多く、私もよくそういうものを読んでいました。
しかし、1年前にリリースされたVICTORIUSのアルバム「Space Ninjas From Hell」の内容に関してそういうことを書いている人が見当たらないので、歴史の闇に隠された真実が陰謀によって改竄されることを防ぐために自分で書くことにしました。

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VICTORIUSについて

VICTORIUSはドイツの5人組メタルバンド。
通算5枚目のアルバムである「Space Ninjas From Hell」は2020年1月にリリースされ、派手なメロディックパワーメタルサウンドと無茶苦茶な歌詞により、一部のメタラーの間で話題になりました。

元々VICTORIUSは、マンガチックだったり日本びいきを感じさせたりな要素はあったものの、基本的には往年のジャーマンメタルを想起させるストレートな音楽性でした。
しかし、2018年の前作EP「Dinosaur Warfare - Legend of the Power Saurus」で、彼らは「男の子ってこういうの好きだよね!」な要素を極端に強調したぶっ飛び熱血オタクパワーメタル路線に大きく舵を切ります。
古代の地球に王者として君臨したレーザーの牙の虎!宇宙の力で殺戮マシーンと化すも、虎は何者にも屈せず大空を駆ける!

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Space Ninjas From Hellについて

そして今作「Space Ninjas From Hell」も、ギャグでやっているとしか思えない曲名やMVが注目されました。
しかし、このアルバムでは基本的に大きなストーリーの流れに沿った歌詞世界が展開されています。

残念ながらその設定に詳しく触れたインタビュー等を見つけることはできず、国内盤にもライナーノーツや対訳はついていません。
ただ、各曲の歌詞に着目すると、様々な用語や設定を読み取ることができます。
私は個人的にこのアルバムをより楽しく聴くため、ストーリーの概要を自分なりに整理しました。
意訳・独自解釈も含みますが、せっかくなので記録としてこのブログに残しておくことにします。

なお、ちょくちょく中国の要素が出てくるとかそんな細かいことを気にしてはいけません。
あと、よくあることですが、ブックレット掲載の歌詞と実際の歌詞が違う箇所があります。
では収録順に見ていきましょう。

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各曲の概要

1.Tale of the Sunbladers

遥か昔、地球から追放され、太陽の裏側まで追いやられた忍者の一団がいました。
その名は「サンブレイダーズ」。
その子孫たちが再び集結し、サンブレイダーズの復権を目指して地球へと向かいます。
この復活した新たなサンブレイダーズが物語の主人公です。

2.Ninjas Unite

団結し、遠い宇宙から地球へと戻ってきた新生サンブレイダーズの忍者たち。
復讐に燃える彼らは、その高い戦闘力によって王国を打ち倒し、王位を奪還します。

3.Supersonic Samurai

ハイテクノロジーによって生み出されたサイバースチール製の殺人兵士、スーパーソニックサムライ!
ジェットパックの力で空を飛び、その眼には怒りの炎が燃える!

このスーパーソニックサムライ、サンブレイダーズの味方ではなく、彼らに立ちはだかる敵キャラです。
そのせいか、がっつりMVまで作られたにもかかわらず、ジャケットやブックレットにはその姿が描かれていません。

4.Evil Wizard Wushu Master

「Wushu」とは中国語で「武術」のこと。
検索すると太極拳の話が出てきたりもしますが、イメージとしては中国拳法やカンフーの方が近いでしょう。
ただし、「Evil Wizard」の名の通り、実は武術マスターの正体は邪悪な魔術師だったのです。

5.Nippon Knights

この曲の歌詞にはアルバムのストーリーに関連しそうな内容が少なく、「来日公演楽しかったです!」的なノリの日本向けファンサービス曲という要素が強そうです。
My Honda is hot, your car is not!(俺のホンダはヤバい、お前の車とは違うぜ!)
My Nissan is best of them all!(俺の日産が一番最高!)

ただ、勇敢で高貴な存在として描かれるNippon Knights(日本義士団とでも訳すか)は、最終的に明かされる過去のストーリーでの重要なキーワードである可能性もあります。
これに関しては後述します。

6.Shuriken Showdown

宇宙の玉座と王冠を手に入れるための手裏剣対決。
トーナメントを勝ち抜いた者には、宇宙の炎によって忍者王の武器がもたらされます。
ただ開催場所はチャイナタウンです。

7.Wasabi Warmachine

ワサビを食いまくって進化を遂げ、緑色に変貌した男!
永遠の飢えに苦しむその姿はもはや人間ではない!
ワサビ戦闘兵器を称えよ!
これもうやっぱりアルバム全体のコンセプトとか分からなくなってきたな。

なお、冒頭の寸劇は実はアノーイング・オレンジのこの回です。

8.Wrath of the Dragongod

サンブレイダーズは、深淵に封印されていた龍神を解き放ち、その強大な力を得てさらなる攻撃に繰り出します。
アルバムのジャケットで忍者たちの背後に描かれた、燃え盛る炎を纏った龍がこの「Dragongod」でしょう。

9.Astral Assassin Shark Attack

星空を超高速で飛び回る、機械仕掛けの宇宙殺人ザメ。
アストラル・アサシン・シャークは、敵の痕跡を追跡して噛み殺すようプログラミングされています。
Scan! Bite! Kill!
このサメはサンブレイダーズ側の兵器であり、忍者を乗せて飛行する姿がジャケットに描かれています。

10.Space Ninjas From Hell

魔術師の邪悪な呪文によって自由を奪われ、地球から遠く離れた暗闇で苦しみ続けたかつてのサンブレイダーズ。
「いつか地球に戻る」というその願いは、その末裔たちが集結した新生サンブレイダーズに引き継がれます。
そして彼らは、「地獄からやってきた宇宙忍者」として地球に帰還したのです。

11.Cosmic Space Commando Base

宇宙の暗闇に閉じ込められていたサンブレイダーズの存在は、長い間忘れ去られていました。
彼らは復讐を誓い、宇宙空間に基地を設けて攻撃の準備をしてきました。
暗闇を抜け出し、地球を侵略することが、サンブレイダーズにとって最後の使命なのです。

12.Shinobi Strike 3000

で、ここからが本題です。

この「Shinobi Strike 3000」はボーナストラックを除いた最終曲ですが、ここで初めてアルバム全体の根幹となる過去のストーリーが明らかとなります。
しかし、語りを収録したこのトラックはインストゥルメンタル扱いで、ブックレットにも詞が書かれていません。
英語が苦手なりに聞き取ったので、その内容を以下に要約します。

何千年も昔、古代の日本は勇敢な忍者と侍たちによって守られていたが、彼らNippon Knightsの中に「サンブレイダーズ」と呼ばれる邪悪な忍者が紛れていた。
そしてサンブレイダーズは、世界を隷属すべく、龍神リンロンとともに人類に攻撃を仕掛けた。
しかしギリギリのところで現れた武術マスター(魔術師)がサンブレイダーズを食い止め、地球から追放したのだった。

これによって危機は回避され、人類は何世紀にもわたって平和に暮らした。
ところが、実は生き延びて太陽の裏側に潜んでいたサンブレイダーズが力を取り戻し、またしても龍神と手を組んだのだ。
再び人類の奴隷化を目論むサンブレイダーズの復活により、今、地球は史上最大の危機に直面している。

地獄からやってくる宇宙忍者(Space Ninjas From Hell)に気をつけろ。

ここに至って、初めてサンブレイダーズが邪悪な存在だったという真実が明かされます。
サンブレイダーズはこのストーリーにおける主人公であると同時に、実はかつて平和な日本を襲撃した悪者の末裔だったのです。
実際、4曲目でEvil Wizard(邪悪な魔術師)呼ばわりだった武術マスターが、地球側の視点ではSuper Duper Sensei Wushu Wizard Master(超すごい先生、武術と魔術の達人)です。

そしてこれを踏まえ、主人公が悪であるという大前提のもとに改めて各楽曲を聴いてみるとどうでしょう。
サンブレイダーズたちの戦いは、視点を変えると全く異なる意味を帯びてきます。
本作で描かれるストーリーの骨格となるのは、侵略者であるサンブレイダーズ側から見た悪役視点の身勝手な復讐劇と言えてしまうのです。

このアルバムを、「親日派の海外バンドによる勘違い日本観ゴリ押しのハイテンションおもしろメタル」的に評価している人も多いと思います。
しかし、この「かつて自分たちを排斥した悪役への復讐」がテーマだと思っていたら、実は主人公こそが地球の平和を脅かす悪役だったみたいなどんでん返し、「ウオーッ!」ってならないですか?
ならないですか。いや別に大丈夫です。

13.Dark Side of the Sun

日本盤ボーナストラック。
こちらもブックレットへの掲載がありませんが、その歌詞からは意外にも必ずしも侵略行為に積極的なわけではない新生サンブレイダーズの心境を汲み取ることができるように思います。
その存在さえ忘れ去られ、逃げ場のない暗闇に捕らわれ続けていた彼らにとって、地球に戻るには「邪悪な忍者として人類に復讐する」というやり方しかなかったのではないでしょうか?
実のところ、自分たちのことを「Evil Ninjas(邪悪な忍者)」と称するのは、アルバムを通してこの曲が初めてなのです。
その点を踏まえてこの曲のサビを聴くと…

We come from the dark side of the sun
(俺たちは太陽の彼方からやって来た)

In the world far beyond where all light is dead and gone
(遥か遠く あらゆる光が消え去った世界)

We come from the dark side of the sun
(俺たちは太陽の彼方からやって来た)

Hear the call from home
(故郷の呼び声が聞こえる)

Evil ninjas will return
(邪悪な忍者たちが帰還する)

どうでしょう、涙がこみ上げてきませんか?
きませんか。すいません。

おわりに

最初にも書きましたがこれは個人の独自解釈なので、まあ実際にはそんな深い意味はないかもしれません。
ともあれ、日本盤に対訳等がついておらず、帯に書かれた文章もおかしかった(サンブラーダーズというカタカナ表記は100%違う)ことが歌詞を読み解こうと考えたきっかけでした。
ちなみに帯の文言は、アルバムのリリースに合わせて更新された、オフィシャルサイトに書かれたバンド紹介の訳です。
せっかくなのでこれも自分で翻訳した内容を載せておきます。

数千年前の日本で、恐竜の遺跡からジャーマンメタルバンドが出現した。
彼らはすぐに「サンブレイダーズ」と呼ばれる邪悪な忍者の一団と手を組み、考えうる限り最強のパワーメタルバンドとなった。
VICTORIUSは第四の大作(※管理人注:おそらく自主制作盤を除いて4枚目となるこのアルバムのこと)とともに帰還し、君は自分自身が何を待っていたのかさえ知らない。
Space Ninjas From Hellが教えてくれるのは、忍者、侍、龍、そして古代日本の政略の真実だ。
ギターが奏でるこのパワーメタルの1ピースは、EP「Dinosaur Warfare」と同じく、全てのジャンルに大きな影響を与え続ける。
さあ、手裏剣を手に取り、アストラルレーザーシャークに飛び乗れ。

やっぱりよく分かんねえな。

余談ですが、新型コロナウイルスの世界的流行により、オフィシャルのウェブサイトから日本に商品を発送してもらうことは現在できません。
コロナ禍が落ち着いたら、個人輸入でアストラルアサシンシャークアタックのTシャツでも買おうと思っています。

新譜が発表されたから久々にオフィシャルサイト見たら買えるようになってる!やったね!(しかし送料がでかいなあ…)

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