アンビエント系の不思議な音色ばかりを内蔵した、TC Electronicの変わり種的なリバーブです。
他のリバーブからはどうやっても出せない音が出せる、正しく「変な音」のエフェクターです。
私はこれで、TCのイメージがちょっと変わりました。
「…何これ?」
このリバーブ、ざっくり言えばとにかく個性的な音がします。
リバーブにフランジャーやコーラス、ピッチモジュレーション等を組み合わせたような音や、シマーリバーブのような質感の音を出せるモードもあります。
抽象的な説明ですが、「ブラックホールに吸い込まれそうな音」とか「戦争映画でヘリコプターが降りてくるときのような音」などと形容したくなる音も出せました。
ベースで演奏している動画がありました。
この音を聴いていただければ私の言いたいことが伝わると思います。
コントロールの特徴
基本的なコントロールはTCの代表的なリバーブであるHall of Fameと同じで、比較的シンプルです。
(※2017年発売の現行モデル、Hall of Fame 2に搭載されている感圧式フットスイッチのMASH機能はありません。)
DECAYで残響の長さを、TONEで残響音の明るさを、MIXで残響の音量を調整します。
真ん中の小さなスイッチはプリディレイの切り替え。
「残響音が鳴り始めるまでの長さ」を2段階で切り替えることができ、上向きがショート、下向きがロングです。
そしてセレクターで11種類(TonePrint含む)のリバーブを切り替えるんですが、これが本当に説明のしようがないんですよね。
なんせ取扱説明書にも「時空が伸縮する」とか「オーロラのような輝き」とか「リバーブ・エフェクトの背面でサウンドが渦を巻く」とか書いてあります。
ただ、いずれも高級なリバーブやマルチエフェクターでも簡単には再現できない独特な質感の音で、イマジネーションを刺激してくれるサウンドであることは間違いありません。
TonePrintの利点
で、個人的にこの機種で一番のポイントだと感じたのがTonePrintです。
というのも、普通TonePrint機能は、こだわりのオリジナル音色や飛び道具的な音を入れるのに使うことが多いと思うのですが、この機種の場合はTonePrintにごく普通の綺麗なリバーブの音を入れておくことによって、非常に使い勝手が良くなると感じました。
飛び道具系のエフェクターを買うと、「独特の音しか出せないので汎用性の高いエフェクターを別に用意する必要がある」なんてことがあったりしますが、この使い方なら一台で「変なリバーブ」と「王道のリバーブ」、どちらのリバーブ音も準備することができるわけです。
原音がAD/DA変換されないアナログドライスルーのためか、ONにしても音が引っ込むことがなく、ごく普通のリバーブとしても十分な完成度であるという点が何より気に入っていました。
裏蓋を開けると小さいスイッチがあり、トゥルーバイパスとバッファードバイパス(エフェクトOFFしても残響が残る)、及び原音を消すキルドライの切り替えも可能で、音色が気に入ればかなり便利に使えます。
同時に発売されたディレイのAlter Ego V2と同様、既に生産完了となっており、この記事を書いている時点でほぼ流通していませんので、気になる方は見かけたら即座に入手することをおすすめします。

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