【徹底比較】エレハモのボリュームスウェルエフェクター POG2 / ATTACK DECAY / PICO ATTACK DECAY

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誰もがごく一部の界隈のエフェクターマニアが気にしている疑問に自分なりの結論を出すべく、用事のついでに久々に大阪の楽器店に行ってきました。
私は以前から「ボリューム奏法ができるエフェクターはPOG2が圧倒的最強」と言って憚りませんが、2019年発売のATTACK DECAYに続き、その小型版であるPICO ATTACK DECAYも先ごろ発売されましたので、「全部まとめて試して、PICO ATTACK DECAYが良かったら買っちゃおう」という意気込みで3台を比較しながら試奏させてもらいました。
その結果、いろいろな発見があったのでここに記録しておきます。

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【前置き】今回の試奏について

普段はこういうことをわざわざ書かないのですが、今回は大阪難波の山野楽器ロックイン難波に行ってきました。
目当ての3台が全部在庫しているのがここだけだったのです。
大阪に住んでいた頃はよくこちらでエフェクターを購入していました。

で、今回は試奏が念入りになると予想できたので、通常の試奏以上にお店に気を遣うべきだと考えました。
まず、混んでいる時間帯を避け、私以外ほとんどお客さんがいないタイミングでお店を訪ねました。
また、「3台の中でいずれかを購入するつもりであり、もし決断できなかった場合でも別のものを購入するので、試奏に少々時間をかけることをお許し願いたい」という旨をあらかじめ店員さんに伝えました。
店員さんからは「そんな気にしていただかなくて大丈夫ですよ笑」との返事でしたが、いやでもね、こういうのって大事だと思うんですよ。

(※先にオチを書くと、結局決めきれなかったのでこの日はチューナーを購入しました↓)

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試奏時の環境

というわけで試奏ですが、本題に入る前に確認しておきましょう。
今回の試奏の状況はこういう感じでした。

接続順はPOG2 → ATTACK DECAY → PICO ATTACK DECAYとなっています。
当然ながら、3台直列接続です。
また、電源は1つのアダプターから、いわゆるデイジーチェーンケーブルで単純に分岐しただけのものです。
多くの楽器店で試奏用の環境はこういうものだと思いますが、今回の3台はいずれもデジタルエフェクターであり、試奏において「これちょっと良くないな」と感じる点が電源・接続順などの接続環境に起因している可能性を否定できないことを差し引いて考える必要があります。

加えて、時間をとらせてもらったとはいえ、あくまでも極力手短に済ませた試奏でのインプレッションであり、「エフェクターボードに実際に組み込んでみたら印象が変わるかもしれない」という点も強調しておきます。
何でもそうですが、極論エフェクターなんて実際に買って自分の環境で使い倒してみなきゃ何もわからないんですよね。

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POG2

まずは自分にとっての基準とも言えるPOG2のセッティングを決めます。

POG2を単純にボリュームスウェルエフェクターとして使う場合は、まず真ん中の2つのボタンを何度か押して、上の「DRY FX」のLEDが赤、下の「Q」のLEDが消えるようにします。
そして一旦すべてのフェーダーを下げます。使うのは一番左の「DRY OUTPUT」(音量)と、右から3番目の「ATTACK」だけです。
これは過去記事でも載せていた私の元所有機の画像ですが、こうなります。↓

これでボリューム奏法が完全に演奏に追従してくるんだからやっぱ凄いよね。

和音弾きというか、2つの音をミュートせずに交互に鳴らすような奏法を試してみても、ごく自然に音の頭が消えます。

しかし、後述のATTACK DECAY兄弟と比べてみて分かったことですが、POG2のボリュームスウェルは良くも悪くも弦楽器らしい質感がやや損なわれるという点がデメリットとなります。
倍音というか、エレキ弦楽器特有の高音域のジャキッ、バキッとしたアタック感のような成分が抑えられ、音の頭が消える分以上に丸い音に変質するのです。
これについては最後に詳しく書きます。

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PICO ATTACK DECAY

2台目、ミニサイズ筐体のPICOシリーズの1台として昨年発売されたPICO ATTACK DECAYです。

コントロールは、VOL、SENS、ATTACK、DECAYの4つのノブ。
SENSで入力感度を、ATTACKで音の頭のフェードインを、DECAYで音が切れるフェードアウトを調節します。
音が勝手に切れる必要はないので、DECAYは全開にしておき、他のコントロールを微調整してPOG2に近い音の立ち上がり方になるよう目指します。
モードはオレンジLEDのPOLYモードが好みでした。

やはりATTACKコントロールの微調整が効くのは良いです。
あと、ノブが硬いのが凄く良い。
こういうのはパパッとセッティングを変えるようなものではないので、入念に設定したノブの位置がちょっと足が当たっただけで動くようでは困ります。

で、前述のPOG2との比較で言うと、音の頭が削れても高音域のガリッとした質感が残ります。
その結果、より「ヴァイオリン奏法」の名の通りというか、POG2よりも弓で弾いた擦過音のようなニュアンスが出ます。
そしてこれにより、DECAYコントロールを絞った状態で勝手に音が短くフェードアウトするようなセッティングにするとチェロのスタッカートのような音になります。これが自分の手で音を切るのとはまた全然違うニュアンスで面白いです。

なお、速いフレーズにもかなり追従してくれるのですが、POG2には一歩及びません。
また、POG2のときと同じ要領で2和音を交互に鳴らすと、POLYモードであってもバグったような音の出方になってしまい、「実際に弾いているのとあべこべの順番で音が鳴ってしまう」という現象が起こりました。
加えて、これが3台の中で一番ノイズが乗っていました。
ただし最初に書いた通り、これらの現象が適正な環境のエフェクターボード上でも発生するのかどうかは試奏では分かりません。

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ATTACK DECAY

最後、大きい方のATTACK DECAYです。
(※この現行ATTACK DECAYは一応は「過去に存在した同名エフェクターのリイシュー品」なのですが、旧ATTACK DECAYはアナログエフェクターであり、現行品は全く別物です。)

こちらはプリセット機能や内蔵ファズを備えており、「ボリュームスウェルに一切影響なく音を歪ませることができる」というのは実際面白いです。
とはいえ、個人的には「シビアな設定が必要なエフェクターにあんまり付加機能をつけないでくれよ」というのが正直な感想であり、今回の比較ではそれらの機能は無視しています。
歪みは左側のフットスイッチでON/OFFできます。

上記の歪み・プリセット機能を除いたコントロールは、PICOの方と同じVOL、SENS、ATTACK、DECAYに加え、BLENDのノブがあります。
原音を混ぜる必要はないので、今回はBLENDは全開にしておきます。
微妙に各ノブの効き具合が違うようにも思えるのですが、基本的には同じ操作感と言っていいと思います。

そして音ですが、PICOよりもさらに高音域のアタック感が残ります。
ともすれば弓弾きの「ギギィー」というヒステリックな音が鳴ってしまっているというか。
にもかかわらず音のレンジ感はPICOよりも狭く感じました。

ここでも2和音を交互に弾いてみましたが、これが一番バグり方が良くなかったです。
POLYモードでも、アナログのモノフォニックオクターバーに和音を入力したときのような「ブブブブ」という音が出てしまいました。
なお、こちらも電源・接続順などによる影響がゼロとは言い切れません。
ノブはPICOほど硬くありませんでした。

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3機種の比較から見えてきたもの

以前にATTACK DECAYを単体で試奏した時は、正直「POG2と比べたら追従性イマイチな気がするなあ」というのが正直な感想でした。
今回の試奏でも、追従性については「設定を詰めればかなりいい線までいくが、それでもPOG2のレベルには至らない」というのが結論です。
今回自分が触った感触では、イメージ通りにボリュームスウェルをかけてくれる度合いとしてはやはりPOG2が圧倒的で、次いでPICO ATTACK DECAY、大きい方のATTACK DECAYはさらに一歩及ばず、という印象です。

1つの事実として、ギタリストのKurt RosenwinkelはPOG2の愛用者であることが知られています。
彼は現行のATTACK DECAYを一度導入していたのですが、そのATTACK DECAYは後にいくつかの機材と一緒に売りに出されています。
これもPOG2のボリュームスウェル性能の高さを示すエピソードのひとつと言えるかもしれません。
こちらの動画でも、POG2のボリュームスウェルが徹頭徹尾効いているのがよく分かります。↓

ただし、以前から一部で言われていることですが、今回の比較により、POG2は「楽器で鳴らした音の頭を消している」というよりも「オクターブ上下の音を生成するのと同様の仕組みで、入力された音声信号を元にした『ボリュームスウェルがかかった音』をゼロから生成して鳴らしている」のだろう、というのが確信に近付きました。
でないと、この異常なレベルの追従性は説明がつきません。
とすれば、その点を嫌う向きもあるかもしれませんし、「常に安定した丸い音が出る」というのは裏を返せば「弦楽器らしさが削がれている」ということでもあります。
(とは言うものの、ATTACK DECAYおよびPICO ATTACK DECAYもデジタルエフェクターである以上はAD/DA変換を経た音声信号であり、「楽器の音そのまま」とは言い難いです。実際やや高域が不自然に聞こえるきらいもあり、これは人によって好みが分かれそうです。)

今回の比較結果や、サイズ、価格等を総合的に判断して、やはり新製品のPICO ATTACK DECAYが妥当かな、という結論に達しつつありますが、やはりPOG2のイージーオペレーションは捨てがたい魅力です。
でも買い直すには高くなりすぎている…(私がPOG2を初めて買ったときは、セール品とはいえ新品で4万円を切っていました)

どれかを購入した折には改めてレビューを書きます。

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