【IYV備忘録】Inyen Vinaとの思い出

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Inyen Vina(電話で聞いた発音だと「イニェーン・ヴィーナ」が近い。略称IYV)という楽器メーカーがあります。
多弦やファンドフレット等、マニアックな仕様のギター・ベースが好きな方は以前から知っているかもしれませんが、そのIYVを取り扱う日本国内代理店ができたそうです。
私は以前、IYVとちょっとした縁があったので、ネット上にあまり残っていない2016年~2017年ごろの情報について、個人的な備忘を兼ねてちょっと書き残しておこうと思います。

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IYVとの出会い

私がIYVと関わるきっかけとなったのが、2016年1月のNAMM Showでした。
メーカーや楽器店がSNSで発信する新製品情報をチェックしていたところ、開催終盤にベースマガジン公式Twitterがこんなツイートをしていました。

「IYV」という聞いたことのないメーカーの10弦ベースがセールでなんと500ドル!
特にバズってはいませんでしたが、これはどう考えても破格の値段です。
私はこの楽器に強い興味を持ちました。

とはいえ、ベースマガジンの公式アカウントは質問リプライへの個別回答はしていません。
そこで私は、この「IYV」について自力で調べることにしました。

当時は「IYV」という単語で検索してもほとんど何もヒットせず、情報を集めるだけでも一苦労でしたが、いくつか見つけた断片的な情報を集約し、「韓国資本の企業で、正式なメーカー名はInyen Vinaであり、工場はベトナムにある」ということが分かりました。
※このとき日本語の情報も少しだけ見つかったのですが、これより以前にIYVブランドの楽器を日本国内に輸入した方も存在したようです。

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初めての10弦ベース

こうしてInyen Vinaの公式サイトにたどり着いた私は、英語で「NAMMに出していた10弦ベースは売れてしまったのか?」という内容の問合せメールを送りました。
すると、翌日に「欲しいなら売るよ!482ドルでどう?」というメールが返ってきたのです。
当時1ドル120円ぐらいでしたので、10弦ベースの本体価格が約58,000円!

ケースは付属しませんし、送料がいくらだったか忘れてしまいましたが、私は即座に購入意思を伝え、銀行の海外送金で支払いを完了。
1週間程度で届いた楽器は、作りは値段相応だったものの、初めての超多弦楽器にとても興奮したことを覚えています。

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カスタムオーダーの受付とその後

そして、その後のメールのやり取りの中で、要望に応じたカスタムオーダーも可能であるということが判明し、以下のようなことが確認できました。
・IYVは日本のTanatosの他、アメリカの大手メーカーからアジア・ヨーロッパの小規模メーカーまで、多くの製品をOEM生産している。
・多弦だけでなく、多フレット、ファンドフレット、変形シェイプ等、個人からのオーダーでも様々な楽器を安価に製造できる。

この話に興奮した私は、Twitter上で名の知れた速弾きベーシスト、F氏にコンタクトを取りました。
彼はいつも「ファンドフレットの7弦ベースが欲しい」と言っていましたが、当時そんな楽器は市場に存在しなかったのです。

そしてしばらくたって、要望通りの7弦ベースが彼の手元に届き、情報が公開されると同時に、「ベトナムのInyen Vinaというメーカーが個人からのオーダーを格安で受けてくれるぞ!」と発表しました。
F氏のツイートが拡散するだけでなく、私のツイッターアカウントも急にフォロワーが増えたので、びっくりしたのを覚えています。

しかし、その後も私はIYVからの新情報をツイートしたりしていたのですが、そのうち以下のような問題が起こるようになりました。

・IYVがオリジナルモデルとして販売していた楽器が、Tanatosがまとめ上げたデザインの無断流用だと判明
・「ブリッジの落とし込み加工をしないと全く実用レベルの弦高に下げられない」等の欠陥を伝えても、一向に改善されない
・急なオーダーの増加に対応できなくなったためか、仕様の取り違えや品質の低下が発生するようになったうえ、突然の値上げが行われた

正直なところ、これらの問題については日本からオーダーした側にも一因があります。
オーダーしておきながら、楽器が完成してから料金を払わずに放置するような人もいたようです。
とはいえ、メーカーへのクレームを私にぶつけてくる人も出てきて、私は精神的に参ってしまいました。

また、私は「特定の楽器を参考にするだけならまだしも、そっくりそのまま模倣したオーダーをするのは先々のことを考えて避けてほしい」、「やるならせめてこっそりやろう」と注意喚起していたのですが、有名な楽器のデザイン丸パクリのオーダーをしたうえ、SNSに載せたり、すぐにヤフオク等で売却するような人も出てきました。

その他にも様々なトラブルが重なり、私はあるときを境に「もう無理」となってしまい、IYVの話題をシャットアウトし、それまでのツイートも全て削除してしまいました。
IYVを製造元とする楽器販売事業を持ちかけられ、途中まで話が進んだこともあったのですが、その件は試作品一本で立ち消えになりました。
現在運営されている代理店とも私は一切関係していませんし、今後もそのような事業性のあることをするつもりはありません。

とはいえ、短い間でしたが、思い返せば非常に楽しい経験ができたのも事実です。
IYVがきっかけでできた繋がりもたくさんありますし、不具合が出なかった楽器を今でも使っている人をたまに見かけるとなんだか嬉しいです。
今後代理店を通して販売される楽器は、値上がりはするようですが、国内で最終調整が行われ、さらにパーツも安物ではないメーカー品が指定できるようになったと聞いていますので、今後の展開に期待しています。

【2019年7月追記】
残念ながら代理店の業務は終了することになったようです。↓

【IYV備忘録2】Inyen Vinaの現在、Tanatosや代理店の話など
ベトナムに工場を構える楽器製造メーカー、Inyen Vina(IYV)ですが、先日Twitterを眺めていると、その国内代理店であったPenguin Custom Guitar Research(PCGR)が業務を停止するというツイートが流...

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