【人柱レビュー】S by Solar / AB4.6C-E

スポンサーリンク
当サイトは広告収益によって運営しており、ページ内のリンクにアフィリエイト広告を含みます。

サウンドハウスが取り扱いを開始した「S by Solar」の中でも最も安いモデルを買ってみました。
Ola Englundが立ち上げたSolar Guitarsの廉価版ブランドです。
エントリークラスの楽器でも3万円を切るものは少なくなっている昨今、2万円台のこのギターがどんなものなのか見てみましょう。

スポンサーリンク

そもそもS by Solarの立ち位置とは?

調べても確定的な情報があまり見当たらないのですが、Solarの下位ブランドであるS by Solar(以下単純に「S」と表記します)のギターは2023年2月頃に販売が開始され、ごく限られたマーケットに投下されたようです。
スタート時のメイン市場はブラジルのようで、Ola自身によるアナウンス動画がありました。

また、実際にポルトガル語圏のYouTuberギタリストがアップしている動画も複数存在します。
どうやら現時点でサウンドハウスが取り扱っているのはフルラインナップではなく、一部のモデルには黒以外のカラーバリエーションがあり、またベース1ハムのミニギターもあるようですね。

そしてブラジル以外だと、ロシアのYouTuberによる動画もいくつか確認できました。
他方、英語によるレビューはこの記事を書いている時点では見つけることができませんでした。
なんだ?貧困国向け製品か?

スポンサーリンク

本家Solarとのスペック比較

さて、では今回のギターを見ていきましょう。
こちらは「AB4.6C-E」という、最も安価かつスタンダードなノントレモロ6弦のモデルです。

ケースは付属しませんが、オマケ程度のシールドと、トラスロッド・弦高調整用の六角レンチがついていました。

これを本家Solarの「AB2.6-C」のカタログスペックと比較しながら見ていこうと思います。

※私はSolar Guitarsの現物を触ったことはないのですが、2015年頃にイシバシ楽器で取り扱っていたWashburnのOla Englundモデル「Parallaxe Solar」は弾いたことがあり、当時かなり真剣に購入を検討していました。

ヘッド

ヘッドにはシンプルに「S」のロゴ。
リバースヘッドと相まって精悍なデザインです。

ヘッド裏にはMADE IN CHINAの表示。生産国は中国です。
シリアルナンバーと合わせてシールが貼ってあるだけです。
ペグはノーブランド品ですが精度は悪くありません。

なお本家のSolarはほとんどがインドネシア製で、上位モデルのみヨーロッパ製(現在はスペイン)のようです。

ネック・指板

Sのネック材ですが不明です。
塗り潰し塗装なので、どのような木目なのか、何プライでどのように接がれているのかも分かりません。
こうなるとネックの強度は運任せですね。経過を観察したいと思います。

指板素材はテックウッド。
なのですが、「テックウッド」と呼ばれる素材には、安価な木材を重ねて接着した積層材や、木粉と樹脂を混ぜて固めたものなど複数あるようです。
こちらは木目の向きに線が見えますが手触りに樹脂っぽさもあり、ちょっと正確な判別はつきません。

あのSolar特有のインレイは当然入っておらず、小さめのドットインレイが打たれています。
また、フレットはジャンボフレットとのことですが、詳しくないのですがジャンボフレットでもっとでかいのがある気がするので、いわゆるミディアムジャンボぐらいでしょうか?

一方Solar AB2.6-Cの方はメイプルネックに指板が「Stained Rosewood」とのことで、黒染めローズウッドですね。
他にエボニーやリッチライトを採用しているモデルもあります。
Solarは少し前に「エボニー指板が割れた」という話が出たりもしていましたが、そうでなくともエボニーは管理が難しい印象があるので、「真っ黒な指板が好きなら人口素材で全然いいのでは?」と個人的に思っています。SDGsの世の中でもありますし。
ちなみに、Solarの中でも蓄光ポジションマークやステンレスフレットを採用しているのは上位モデルのみです。

なお、スケールはいずれもスタンダードな25.5インチとなっています。

ボディ周り

Sはボディ材も不明です。
だいぶ軽いのでバスウッドかポプラあたりでしょうか。

ピックアップは「Solar Designed High Output Humbuckers」とのこと。
実質ノーブランド品ではないかと思いますが、安ギターでポールピースまで黒いのは珍しいですね。
なお、ダイレクトマウントではなくエスカッションマウントになっています。これはダイレクトマウントの方がかっこいいなあ。

ブリッジはHipshotっぽい機構(側面に壁があるのでサドルが過度に横ズレしない)の結構がっしりしたものが付いており、見た目はSolarに近いです。
ブリッジミュート時の手の当たり具合が痛くないですし、弦高を下げたサドルからイモネジが妙に飛び出すようなこともなく、安ギターのブリッジとしてはかなり好印象です。

コントロールは1vol、1tone、3wayスイッチです。

バックパネルのネジが少ないのはいいとしてネジ留め位置がなんかおかしいような…
これは本家Solarも同様のようですが、経年で角が浮いたりしたら嫌ですね。

ストラップピンは大き目のタイプのものがホーン裏側にあります。

これに対し、本家SolarのAB2.6-Cは、マホガニーボディにDuncanの「Solar」ピックアップをダイレクトマウント。
コントロールは1volに5wayスイッチで、トーンはついていません。
こうして比較すると、やはりSの方はエントリークラスとして初心者に向けた設計になっていると言えそうです。
(※Solarにもトーンありのモデルは多数存在します。)

スポンサーリンク

弾いてみた印象

「ベーシストが家で弾く用に入手したギター」という用途なので、あまり詳しい説明はできない点ご了承ください。

まず正直、多少の「中国の工場で作られた量産工業製品」感はあります。
AliExpressのノーブランド品ほど粗悪な部分はないですが、Gio IbanezとかBlitzとか、ESP系列のKaalenaとか、「エントリーモデルよりももう一段下のブランドで展開しているギター」を触ったことがある方にはニュアンスが伝わるでしょうか。
うまく説明できないですが、あの「ちょっと手入れしてあげたら楽器になる」というか、あと一歩仕上がりきっていない印象を受けます。
ナット弦高にやや高さを感じますし、フレットの表面はザラザラで、角も立っています。

とはいえ、個体差はあるでしょうが音詰まりするポジションはほぼなかったですし、指板側面のチクチクもありません。
メンテナンスの心得がある人なら、少し手を入れるだけでだいぶ弾きやすくできそうです。

ネックの握りは案外薄くなく、指板は体感的にややフラット寄り。
全体が艶消しブラックなので、ネック裏もサラサラです。
これは個人的には好きですが、触るところだけ艶が出やすいのはデメリットと感じる人もいますかね。

あと独特のボディカットのおかげでハイポジションが弾きやすいのが良い!
左手の小指や手刀部分がカッタウェイにぶつかってしまうというストレスが全然ありません。
裏側(親指側)はボルトオンネックなぶん普通ですが、これがスルーネックだったら極めてプレイアビリティが高いだろうなと思います。

重量は体重計計測で約2.8kg。
過去に所有していたギターと比べても軽い方のように思います(ベーシストなので余計に軽く感じます)。
ただそのぶん、ストラップを下げて構えたときのボディバランスはややヘッド落ち気味です。
まあこれは座って弾くぶんにはさほどマイナスにならないですね。

ピックアップはそこそこハイパワーです。
あんまり現代的なタイトな音よりは少し前のメタルっぽいというか、DuncanでいうならNazgulじゃなくてDistortionというか…
でもトレブルのジャキジャキ感、ピッキングのアタックまで割りと出ますし、本職ギタリストの方の好みはあまり分からないですが、交換前提の人も多いであろう一方「これはこれで好き」という人も一定数いそうな気がします。

今後、弦を太めのゲージに張り替えて、Pitch Keyと組み合わせてドロップBチューニングで運用する予定です。

【簡易Dチューナー(ギター用)】Pitch-Key PK-01
番外編として、楽器のパーツや周辺機器について紹介します。 今回は、ギターの特定の弦のチューニングを瞬時に切り替えることができる便利グッズ、Pitch-Keyです。 これを使えば、いわゆる「Dチューナー」みたいなことが、楽器本体への改造なしで...

総評

今の時代にこれで2万円台なら十分すぎるほどアリです。本当に。

「買った瞬間からちゃんと楽器」というわけではないので、通販のデメリットも込みで考える必要は当然あります。
とはいえ、メタラー的に刺さるデザインで、かつ若い方やサブギター的な用途で気軽に手が出せる価格のギターは今時あまりないので、多少の調整を加えたうえで使い始める前提であれば十分にオススメできます。

「幅広いジャンルに対応できる」という条件付きであれぱ、もう少し予算を出してBacchusあたりを選択肢にすることになるのでしょう。
しかし、メタルを弾きたいのであればこのギターはコスパ抜群といって間違いないと思います。
このクオリティで7弦やVシェイプが3万円台というのはかなりアリです。

なお、ギターケースを余らせていない場合はあわせてケースも購入するのがいいと思いますが、サウンドハウスはSolarのケースも扱っているので、(本体に比して高価にはなりますが)せっかくならSolarのケースというのもいいかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました