小さいサイズで複数のエフェクターへの電源供給をまかなえる、便利なパワーサプライです。
小型のパワーサプライの先駆けと言ってもいいのではないかと思います。
私自身、初めて導入したパワーサプライがこれでした。
小型パワーサプライの流行の源流
このDistroが発売された2011年当時、「パワーサプライ」というのは、まだ初心者にはなんとなく敷居が高いものだったと記憶しています。
今と比べると、エフェクターボードの電源供給を「大容量のアダプターをデイジーチェーンケーブルで分岐しただけ」で済ませているアマチュアミュージシャンも多かったと思います。
そんな中、当時としては画期的なミニサイズで登場したパワーサプライがDistroでした。
今でこそミニサイズのパワーサプライも珍しくありませんが、当時これは画期的とさえ言えるものだったのではないかと思います。
一般的なDC9Vの電源供給が8個、それに加えてDC12V~18Vの範囲で電圧を変更できるSAG OUTも備えており、当時18V駆動のエフェクターを使用していた私は「これなら1台で全てのエフェクターに電源供給できる!しかも小さい!便利!」と考えました。
当時、あまりの人気ぶりに大手の楽器店でも入荷待ち状態で、予約しないと購入できなかったこともあり、かなり期待していました。
しかし、残念ながら私の用途には合いませんでした。
機能面の特徴
まず、電圧可変のSAG OUTについては、最大電流量は50mAとなっています。
これは完全な確認不足なので自分が悪いのですが、私が使用していた18Vのエフェクターは消費電流量が大きく、50mAでは動かせなかったのです。
さらに、「アルミ削り出し筐体でノイズに強い」という謳い文句でしたが、アナログエフェクターとデジタルエフェクターが混在するボードで使うと常に「ジーッ」というノイズが乗ってしまいました。
正直、当時はそのような電源回りの知識も、アマチュアバンドマンの間でそこまで広く共有されてはいなかったのです。

本来どのようなエフェクターボード向けの製品か
というわけで、当時は短期間で使うのをやめてしまったのですが、今考えると用途さえ合えば非常に使い勝手がいいパワーサプライだと思います。
アナログの歪みエフェクター等を18V駆動するのであれば50mAで問題なく動くでしょうし、アナログエフェクターだけのエフェクターボードならノイズの心配もあまりしなくてよいでしょう。
(※高電圧での動作保障がされていないエフェクターを9V以上で駆動する際は自己責任で。また、デジタルエフェクターは指定された電圧以外では絶対に駆動してはいけません。)

何より、デザインがいいんですよねこれ。
カラーバリエーションが豊富で、時々出る限定カラーも魅力的ですし、電圧を無段階調整できるパワーサプライは多くないので、電源の電圧が音色にどう影響するか、という実験もできます。
どちらかというとシンプル志向のプレイヤーにおすすめしたいパワーサプライです。
なお、現在はMinimal Seriesとして、安価かつシンプル(電圧の無段階切り替えは不可)なモデルも出ていますが、いずれも「All in One Pack」の記載がないものはアダプターやDCケーブルが付属しない本体のみでの販売だったりしますので、購入時は注意しましょう。
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