【考察】エフェクターのアナログとデジタル、それぞれのメリットとデメリット

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以前、「アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違い」について書きました。
しかし、思ったより長くなってしまい、書ききれなかった部分もあります。
そこで今回は続編ということで、デジタルエフェクターとアナログエフェクターそれぞれが持つメリットとデメリットについて、そして組み合わせて使うことで発生する問題について書いてみたいと思います。

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アナログエフェクターとデジタルエフェクター

前回の記事をお読みでない方はひとまずこちらをどうぞ。

【考察】アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違いとは
初心者時代から結構長い間、私は「エフェクターのアナログ・デジタルとは一体何なのか」がよく分かっていませんでした。 そこには、「アナログ」「デジタル」の定義が十分に整理されていないという問題が前提にあると思われるため、今回はそのへんについてち...
【※エフェクターの分類について】
前の記事で書いたとおり、単純に「デジタル」「アナログ」と言うと誤解が生じるため、この記事では便宜上「デジタル技術を用いたエフェクター」という回りくどい表現を使います。
これには「音声信号をAD/DA変換するデジタルエフェクター」と、「音声信号はアナログのままだが、一部機能にデジタル制御を用いているエフェクター(例:タップテンポ機能付きアナログディレイ、プリセット機能付きアナログイコライザー等)」の両方を含みます。
単純に「アナログエフェクター」と言うときは、デジタル技術を用いていない完全にアナログのエフェクターを指します。
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消費電流について

さて、まず大きな違いとして挙げられるのは消費電流でしょう。

消費電流が何mA(ミリアンペア)かというのはエフェクターの説明書などに書いてありますが、アナログエフェクターは消費が少ないので電池が長持ちするのに対し、デジタル技術を用いたエフェクターは消費が多いために電池がすぐ切れてしまいます。
デジタル技術を用いたエフェクターの電源には、電池ではなくアダプターやパワーサプライを使用した方が安心です。

例として、BOSSのベース用歪みエフェクターの公式データを比較してみます。
消費電流は、アナログエフェクターのODB-3が20mAであるのに対し、デジタルエフェクターのBB-1Xが54mAとなっています。
そして、アルカリ9V電池での駆動時間を見てみると、ODB-3は約51.5時間ですが、BB-1Xは6時間しか電池がもたず、その差は明白です。

また、デジタル技術を用いたエフェクターは指定された電圧(V)以外で絶対に駆動してはいけない、というのも注意が必要な点です。
アナログエフェクターの中には、9V駆動が標準でありながら、12Vや18Vといった高電圧で駆動すると音の変化が楽しめるものが一部あります。
アナログだからといって高電圧のアダプターを使ってもいいわけでは決してありませんが、特にデジタル技術を用いたエフェクターで9V駆動と指定されている場合、規定以上の電圧を突っ込むと内部パーツに深刻なダメージが生じ、故障してしまう可能性がアナログエフェクター以上に高いので、高電圧のアダプターを繋ぐのは絶対に避けましょう。

【エフェクターの昇圧】18Vのメリット・デメリット、9Vとの違い
世の中には多くのエフェクターが存在しますが、中には一般的な9V駆動(四角い006P型乾電池ひとつぶんの電圧)ではなく、電源に18V等の高い電圧のアダプターが必要なものがあります。 また、9V仕様でありながら「18Vで使うといい音になる!」と...
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アナログとデジタルのエフェクターで電源を共有した場合のノイズ

電源由来のノイズというのも問題のひとつです。

エフェクターボード内で、アナログエフェクターとデジタル技術を用いたエフェクターの両方に同じパワーサプライから電源を供給すると、電源の共有が原因で「ジーーーー」というノイズが乗ることがあります。
これについては、出力が完全にアイソレート(独立)されているパワーサプライを使うのが安心でしょう(安物や小型のパワーサプライはこのあたりのノイズ対策が不十分なものが多い印象です)。

安心できるパワーサプライを導入する以外にも、アナログエフェクターだけ電池駆動、デジタル技術を用いたエフェクターはアダプター駆動にするという方法でも対策することは可能です。
あるいは、電源を供給するDCケーブルに噛ませるノイズフィルター(Ex-proのNF-1など)を導入するという対策方法もあるようですね。

「デジタルは音が変わる」は本当?

そして最後に、「デジタル特有の音質変化」という問題があります。
最近のデジタルエフェクターは、技術の進歩もあってか極端に音質が変わるものは少ないですが、昔は「デジタルエフェクターは音痩せするからダメ」という人も多かったようです。
実際、デジタルエフェクターは「信号がAD/DA変換される」という特徴により、その前後で音質が変化するものが多い印象です。

以前、AD/DA変換を何回も繰り返すとどうなるかを試すべく、エフェクターを持ち寄って友人とスタジオに入り、20台以上のデジタルディレイを直列に繋いで、ディレイ音が出ない設定にしたうえで全部ONにして弾くという実験をやったことがあります。
結果、MP3のビットレートを落としまくったかのようなスカスカの音になり、さらに明らかなレイテンシー(弾いてから音が出るまでの遅れ)も発生していました。
デジタルエフェクターばかりを何台も同時に使うことは少ないでしょうが、このような特性は頭の片隅に置いておいてもいいと思います。

「どちらが優れている」ということはない

さて、こうして書いてみると、デジタル技術を用いたエフェクターには面倒なことが多いようにも感じますが、アナログでは不可能な音色や機能はやはり魅力です。

デジタルディレイのくっきりした残響音は、アナログディレイには出せません。
オクターバーだと、アナログは反応は早いものの、単音しか検出せず、オクターブ下の音しか出せませんが、デジタルなら和音を検出できるうえ、オクターブ上の音を加えることもできます。
ワーミーのようなペダルピッチシフトも、プリセットやタップテンポといった便利な機能もデジタルならではです。

私もまだまだ勉強不足の身ですが、アナログ・デジタル両方の特性をしっかりと理解したうえでエフェクターボードを組めば、理想の音に近づきやすくなりますし、トラブルも回避できるのではないかと思います。

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